
L型クイックリリースプレートの導入などカメラ周辺機材に力を入れているのは、三脚の使用をもっと積極的に行いたいからである。その理由は極めてシンプル。写真のクォリティが上がるからである。
もともと僕は、三脚を好まなかった。デジタル時代になって枚数を気にせずに撮れるようになり、一枚一枚を腰を据えて撮るよりも、思いつくままのアングルで自由に撮れた方が自分にとってはよかったからだ。しかし、当然そのスタイルでは手ブレも多いし、構図も中途半端なものが多い。ピンも狙ったところからずれていることもしばしばだ。もちろん、それは十分承知の上で撮ってはいて、それを枚数でカバーしていたのである。
しかし、ちゃんと三脚に据えて構図を考え、ピンをキッチリ合わせ、一枚一枚を大事に撮っていくほうが、一枚一枚のクォリティは上がる。もちろん、動体の撮影などは厳しいものがあるが、条件がいいシーンでも三脚を使用したほうがいいことは多々ある。そこで、改めて三脚を中心とした機材を見直しているのだ。
今行っているのは、アルカスイス互換化である。カメラの着脱がスムーズな上に、安定度も高く固定力も強い。今後、雲台もアルカスイス互換化していく予定である。
では、今持参している三脚は改めて検証するとどうなのだろうか?仕様に大きな支障をきたすものはないが、古い機材が中心なので、少々気になる点もある。今まで使ってきて気になるところをまとめてみた。
スリック プロフェッショナル II 我が家で最大のパイプ径32mmのアルミ三脚である。最も大きく最も高い。一番伸ばすとアイレベルを超える。そして、最も重くその重量は約4.8kg。持ち出すのに躊躇する重量だ。だが、それゆえに安定性は抜群。剛性も高い。付属の雲台の固定力、安定力も高い。古いモデルだが実力は高い。最大のネックになっているのは重量。そしてローポジションに対応してないことか。
ベンロ A2570T パイプ径28mmのアルミ三脚。中国製だが、うまくGITZOをコピーしており、操作性は結構いい。作りも悪くない。アルミだが重量はそんなに重くないので、持ち出すのにもそこまで苦にならない。強度は低くはないものの、それなりという印象。大きな荷重をかけると若干しなるのが気になる。しかし、今のところ僕の機材では使用上大きな問題はない。ローポジションができないこと(オプションの短いセンターポールが必要)と、やや振動に弱いのが弱点。
ジッツオ G2220 パイプ径28mmのアルミ三脚。エクスプローラーモデルという、センターポールがオフセットされ、自由に動くタイプ。各脚も自由な角度に開く。超ローアングルや、足場が平らではないところなどでその力を発揮する。剛性は高く、安定度もある。ベンロよりも振動に強い。しかし、脚を大きく開いた時の脚の固定力は弱い。
ベルボン カルマーニュ630E パイプ径28mmのカーボン三脚。ちょっと古い日本のカーボン三脚だが、その剛性は意外に高い。200mm望遠でも問題ない。カーボンらしく、重量も軽く、持ち出すののが全く苦にならない。ローアングルに対応しているのもマル。しかし、脚を伸ばす時などの操作性はジッツオはもちろん、ベンロにも大きく劣る。センターポールにエンドフックがないのもマイナス。センターポールは他のメーカーよりも若干剛性に欠ける印象。我が家の28mmクラスの三脚では一番背が低いので、センタポールを使用する率が一番高いだけに、これは残念。
我が家の三脚について整理すると、どれも一長一短。しかし、ジッツオはその特殊な構造ゆえに、これでないといけないというシーンが確実にある。これはこれからも出番が確実にある。
スリックは長時間露光には有利だが、僕の機材ではここまでの重量は必要ない。重量はストーンバックなその使用で対応できるし、振動にはカーボンの方が有利。いま、一番稼働率が低いのはその重さが大きな原因だ。
ベンロとベルボンは一長一短。パイプ径28mmのローポジションに対応した使い勝手の良いカーボン三脚があれば、この2本は必要なくなる。仮にパイプ径32mmのカーボン三脚があれば、スリックも必要ない。具体的にはジッツオ3型4段のロングタイプGT3542Lがあれば、3本の三脚は必要なくなるのだ。
では、GT3542Lを導入するのか?将来的にはわからないが、現時点では「ノー」だ。僕の撮影スタイル、撮影シーンでは、たいていの場合ジッツオでいう2型。一般的にはパイプ径28mmクラスのカーボン三脚で賄えるからだ。持ち出しやすくするためには重量は軽い方がいいのである。
ベルボン カルマーニュ630Eがあと少し背が高ければ、しばらくはこれで問題ないのだが……。