
我が家のオーディオシステムの要であるYAMAHA HS5。導入して2年9か月ほど経つ。信頼している方の勧めで導入を決めたのだが、かなりの高音質でありながらコストを大幅に抑え、同時に省スペース化も実現できて大いに満足している。
驚くべきは解像度の高さで、楽器一つ一つの音がとてもクリアに聴き取れる。ヴォーカルも生々しい。小型2ウェイらしく、サウンドステージも広い。音に重々しさがなく、実際の楽器の音のように軽やかでスピードのある音が楽しめる。
一方、多くのユーザーが指摘しているが、低域が若干寂しい。同クラスの製品と比べても低域の音圧レベルは数dB低いように感じる。そのおかげで、以前とは(悪い意味で)大きく違う印象に聴こえてしまう音楽もある。それはちょっとまずい。

メーカーが発表している周波数特性を見ると、1kHzあたりから上は数dB高く、逆に下は数dB低い。

スピノラマの測定でもその傾向が出ている。
この周波数特性が、良くも悪くもHS5の音を表している。中高域の分解能の高さと抜けの良さ、解像度の高さ、そしてスピード感といった良さは、色々な要因があるとは思うがこの周波数特性によく表れているように思う。低音の足りないところは周波数特性の通りである。
これがHS7、HS8とウーファーとキャビネットが大きくなるにつれて周波数特性はフラットに近づく。これはモニタースピーカーとしては真っ当な進化と思うが、大きくなるにつれてHS5ならではの良さは薄れていくような気もする。
以前、NEUMANN KH120Aを聴いた時、5インチウーファーとは思えない低域に驚いた。情報量も極めて多く、解像度も高い。空間表現も見事だった。素晴らしいスピーカーと思ったのだが、若干音が重く感じたのが気になっていた。
しかし、HS5にその音の重さは一切感じない。そこが僕がHS5をとても気に入っているところである。その良さを生かしながら不満点を解消するのが今年の一番の課題である。解決にはやはりサブウーファーの追加しかないわけだが、それはそれで問題がある。設置場所の確保もしなければならないし、防音・防振対策も考えなければならない。今年はセッティングを見直すところから始めるとするか。