
完全に石ノ森章太郎モードになっている今、サイボーグ009の次に購入したのが「佐武と市 捕物控」。時代物の傑作である。
各シーンの描写、コマ割り、構成、構図…。漫画でしかできないことを最大限に活かしながら、漫画という表現の新たな可能性を追求した作品とも言える。一言、見事である。これだけで買う価値がある。
内容は時代物でミステリーの要素も含まれる。一話完結なのでサラッと読めるはずだが、ある種のわかりにくさがつきまとう。かと言って難解というわけではないが、一般的な時代劇のわかりやすさがあるわけでもなく、手塚作品のやりきれない感じ(決して悪い意味ではなく)ともちょっと違う。僕には妙にサラッとした感じに思えるのである。
これも2度3度と読み返すに連れて、印象も変わってくるのだろう。そんなことを思いながら、いま読み進めている。