
AT-LP7のトレース能力の高さと安定感の高さは前にもお伝えした通りだ。AT-PL300で音飛びしていたレコードの音飛びもないし、多少反ったレコードでもそれを感じさせない安定した再生を見せてくれる。これはAT-LP7のアームと付属カートリッジVM520EBのトレース性能が高いからだろう。
今日は今まで一度も安定した再生ができていないレコードを試してみた。一箇所波打ったように反っていて、その部分を再生するときだけ音がうねってしまうのだ。誰が聴いてもはっきりわかるほどのうねりである。ロクサン ザクシーズ20を使っていたときに手に入れたレコードなのだが、ザクシーズ20とセットで使っていたアーム アーティマイズでもしっかりうねりが出ていたのだ。これはAT-PL300でも同様である。
その再生が厄介なレコードをAT-LP7で聴いてみると、いつものうねりがかなり小さい。残念ながらゼロではないが、神経質な人以外は無視できるレベルだ。これにはちょっと驚いた。定評のあるアーティマイズよりトレース能力が高いと結論づけるのは早計だが、これは嬉しい発見だった。
反りだけでなくキズが多めのレコードの再生も良好だ。ロクサンやアマゾンを使っていた頃は聴くに耐えなかったレコードが、思いのほか楽しく聴けてしまうのだ。これはアーム以上にカートリッジのおかげかもしれない。情報量や繊細さ、キレの良さでは以前使っていたライラやベンツマイクロには敵わない。しかし、コンディションの悪いレコードの再生はVM520EBに軍配があがる。それに、生命感というかエネルギー感というか、生きた音を出している感じもVM520EBの方がある。ひょっとすると高価なMCカートリッジは僕には必要ないかもしれない。
AT-LP7は買った時のデフォルトの状態でも、かなりの性能を持っていると言えそうだ。これから色々なレコードを聴くたびに新しい発見があるに違いない。