昨日、佐賀在住のとある彫刻家ご夫妻から相談を受け、山の中のアトリエを訪ねた。
訪れたアトリエは、ご自身とお知り合いによる完全な手作りなのだが、手づくりの範疇を大きく超えたスケールと独創性を持ったものだった。2階建ての家が丸ごと入る高い天井を持った広い空間。そして見たことがない大きな窯。このアトリエで多くの作品を作られてきただけ無く、陶芸教室を開催したり、ときにはバーベキューをしたりと、多くの人たちとの交流の場としても活用されてきたのだ。
だが、ご夫妻も次のステップを考えられるようになった。自分たちだけで使うだけでなく、次の世代の人たちにもっと積極的に使って欲しいと思われるようになったのだ。
この建物と土地を不動産会社に頼んで処分してしまうのは簡単なことだ。だが、この場所にはたくさんの物語と大きな想いが詰まっている。誰がに引き継いで欲しいと思われるのは当然のことだろう。
残念ながらお子さんは関心がなく、引き継ぐ気持ちは全くないらしい。それもわからなくはない。そこで、回り回って僕のところに話が来たのだ。
この相談を受けた時に頭をよぎったのは、先人の思いや活動を受け継いでいくことの難しさだ。特に今年は僕にとってもそのことは他人事ではなくなっている。とはいえ、受け継いでいくことは容易ではない。
昔は親から子へ受け継がれていったのだろうが、時代が変わりそれは難しくなってきているように感じる。だからといってほっとくわけにはいかない。やはり受け継がれていくべきものはたくさんある。これからは受け継ぐ形が変わっていくのだろう。
一人の人が受け継ぐのではなく、複数の人たちがバトンを受け取る。血縁などは関係なく、その想いに共感した人たちが受け継ぐ。それが「次へつなぐ」と言うことになるに違いない。今回相談を受けた彫刻家の方のアトリエも、うまく次へ繋げれるように動いていく予定だ。
2021年11月22日
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/189152115
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/189152115
この記事へのトラックバック

独身だったり、子供が興味無かったりで資産の有効利用が難しいみたいです。
”モッタイナイ”だけでは済まない事です。文化の継承ですよね。
今もSPレコードの処分のお手伝いしています、、
でも、同時に誰かに引き継いでもらうことも考えていかなければいけなくなってきたようにも感じてます。
大事なことですよね。