
「砂の女」はあっという間に読んでしまった。そして早くも2冊目に突入した。
それは「他人の顔」。ここにも「砂の女」と共通する独特の世界観とリアリティがある。そして、「砂の女」同様、巧みな描写によって脳裏にこまかなディテールまでがはっきりと浮かび上がる。小説を読んでいるはずなのに、映画を見ているような錯覚さえ覚える。あぁ、これが安部公房の世界なのか…。なぜ今まで読まなかったのだろう?
でも、昨日書いたように、おそらく今がベストのタイミングなのだ。10年前に読んだとしても、ここまで感じ入ることができただろうか?きっと人によってベストのタイミングというのは違う。そして、それは小説に限った話ではない。絵画も音楽も書も写真も伝統芸能もスポーツも、おそらくみんなそうなのだ。
で、僕にとって今は安部公房に没頭すべき時期なのだろう。この価値あるひとときをじっくり楽しんでいこう。