
今日は朝から福岡県立美術館。「没後70年 吉田博展」である。




3年前の久留米市美術館の展示よりも、さらに風景を中心とした版画に重きを置いた展示である。
いつもながら、版画とは思えないリアリティと精密さに感心するが、では「写真でいいじゃない?」とならないところに素晴らしさがある。常に現地に出向いて作品に残した吉田博だからこそできることなのだろう。僕には芸術作品としてだけでなく、ドキュメンタリーを見てるかのような客観性を持ったリアリティを感じるのである。
そのリアリティは現地の空気感だったり、光だったりするわけだが、それを引き立てているのが見事な構図である。この構図は同時に客観的な視点でもある。だからこそ、俯瞰で見ているかのような客観性と、それゆえのリアリティがあるのだろう。
僕はいつの間にか、自分のデザインや写真と照らし合わせながら作品を見ていた。芸術作品には大いなる学びがあるものだが、吉田博の作品にはその学びがたくさん詰まっている。まだまだ僕は、その学びの入口に立っているに過ぎないのだ。